コスプレの1990年代の発展

1990年代にコスプレの人口は増大し、コミケコスプレイヤーは1991年には約200人、1994年に約6000人、1997年には約8000人を数えた[3]。

アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の流行等でサブカルチャーに注目が集まるようになり、コスプレという用語・行為も普及した。 90年代初頭のビジュアル系バンドブームの火付け役となるX JAPANのライブではファンによる凝ったコスプレが披露され、これは2007年の復活後にも少数ながら見られた。

その頃から商業資本もコスプレに着目するようになった。従来コスプレ衣装はコスプレイヤーによる自家製によるものしかなかったが、それらを既製服として製作・販売する業者「コスチュームパラダイス」(現・コスパ)が現れた。これは製作者の技術に出来が左右される自家製の物に対して、一定レベル以上の品質を保っていたために人気を集め、ブランドを確立している。コスパの成功以後、こうしたコスプレ衣装製作業社が増えた事で更に市場は拡大していった。

イベントについても、それまではコミックマーケットを始めとする同人誌即売会や、ワンダーフェスティバル日本SF大会等において付随的に行われていた状態から、コスプレ単独のイベントも開催されるようになった。 形式としては、コスプレをしてダンスミュージックやアニメソングに合わせて踊る「コスプレダンスパーティーや、コスプレイヤー同士が互いに交流や撮影を行ったり、アマチュアカメラマン(カメラ小僧)に撮影の場を提供する物などがある。

イベント会場は、東京ファッションタウン(TFTホール)や大田区産業プラザ(Pio)といった各種展示会場等が使われるが、ダンスパーティー形式ではディスコやクラブ等が使われる事もある。また、後楽園ゆうえんち(現東京ドームシティアトラクションズ)がハロウィンの仮装イベントとして始めたコスプレイベントが切っ掛けとなって、各種遊園地やテーマパークでもイベントが行われるようになった。これとは別に、「東京ゲームショウ」や「キャラフェス」、「DreamParty」等といったコスプレが可能な展示会等の各種イベントも開催されるようになっている。「コスチュームカフェ」と呼ばれる制服専門の同人誌即売会・コスプレイベントや、特定のジャンルのコスプレに限定したイベントも開催される。

同人誌即売会やコスプレイベント情報を集めた情報誌が同人誌として発売され、インターネットの普及以後は情報サイトも登場した。コスプレ専門のムック・雑誌も発行され[11]、2007年現在では『COSMODE』(インフォレスト)、『電撃Layers』(メディアワークス)、『CosCure』(livedoor Cure・双葉社)などがある。


広がりを見せるコスプレ
1990年代末以降になると、店員がコスプレ衣装を着用してサービスを提供するコスプレ系飲食店や風俗店が登場し、女優がアニメやゲームキャラの衣装を着用して登場するアダルトビデオ等も販売され、キャットファイトDVDでもメイドやレースクイーン、その他制服物衣装が着用される様になった。

1990年代末 - 2000年代以降になると、インターネットの普及でコスプレイヤー各自がホームページを作成するようになり、ネットアイドル的要素を包含するようになる。更には自主制作・同人レベルでコスプレ写真集やCD-ROM写真集を作成、同人誌や同人ソフトとしてコミックマーケット等で直接、若しくは同人誌専門店を通じて頒布するコスプレイヤーやカメラマンも出るようになった。

撮影の場は各種イベントだけではなく、コスプレイヤーやカメラマンが自主的に主催する個人撮影会、イベント会社やモデル事務所がコスプレイヤーと契約する形で、写真撮影会が行われる事もある。秋葉原歩行者天国でコスプレ系飲食店や各種ゲーム等の宣伝活動を行っている店員やコスプレイヤーを撮影する事例もある。

アニメやゲーム等の宣伝要員として、人気のあるコスプレイヤーを「公式コスプレイヤー」として起用する例もある。もとは無名でも、公式コスプレイヤーになった事で知名度を高めた月宮うさぎ等の例もある。

中には芸能事務所に所属し、タレントや俳優(AV女優含む)、イベントコンパニオンレースクイーンキャンペーンガール、ファッションモデルを始めとするとするモデル業、声優等として活動する者おり、アイドルやタレント、声優等がイベントやプロモーション、グラビア写真上でコスプレをする事例もあり、自身の趣味がコスプレであることを公言する者も居る。

2003年からはテレビ愛知テレビ東京系)が主催となって、名古屋市内を会場とし、世界各地の著名なコスプレイヤーを日本に招いて「世界コスプレサミット」を開催するようになった。コスプレサミットは2005年は名古屋市内だけではなく愛・地球博会場でも行われ、ネット関連でライブドア(世界最大のコスプレコミュニティサイト「Cure」を傘下に持つ)の協力を得ており、2006年は大須夏まつりにて開催され、外務省・国土交通省の後援を得るなど、年を追う毎に大規模化している。2005年は欧米と中国の6国で、2006年には更にタイやブラジルでも予選が行われている。

2005年11月15日に紀宮清子内親王黒田慶樹と結婚した際に、結婚披露宴で着用したウェディングドレスは、『ルパン三世 カリオストロの城』のヒロインであり、劇中に登場するカリオストロ公国大公家の継承者であるクラリス姫のウェディングドレスを模したものだった。

2006年5月には、コスプレイベントの参加者が、現在のコスプレが抱える問題点を参加者の視点から解決すべく、「コス援護会」を市民団体として結成。「コスプレの健全な普及啓発及び防犯活動」を主目的に「クオリティオブライフ」の精神を掲げ、2007年8月31日に神奈川県庁の認証を得て、日本のコスプレ界で初となるNPO法人(非営利法人)を取得し、平成20年1月より法人組織として本格的な活動を開始した。[1]

2007年8月には衣装製作会社などが非営利法人「日本コスチューム協会」の設立準備委員会を発足、参加企業を募った上で、年内に正式に協会を発足すると発表した。同協会では日本のコスチューム文化の啓蒙や健全な発展を目的とし、定期的なイベントやコンテストの開催、SNSサイトなどを通じてのコスプレイヤーやコスプレファンの情報交換の場の提供、コスチューム製品の品質維持・消費者保護体制の確立・市場統計調査、PR活動・認知活動などを行っていくとしている。